関連書籍の紹介


心形刀流は伝書が多く残されているような印象がありますが、

そのほとんどは肥前平戸藩第九代藩主松浦静山候が書き残したものです。

松浦静山は伊庭家二代目の伊庭軍兵衛秀康から全伝を授かった水谷常智子の系統になります。

膨大な量の伝書が長崎県平戸市の松浦歴史博物館に所蔵されていて、

その一部が書籍として刊行されています。

 

心形刀流は江戸を中心に地方でもたくさんの門人を抱え隆盛した流派なので、

この辺りの伝書ももっと残されていてもいいと思うのですが、

なかなか目にすることはありません。


日本武道全集 第一巻 昭和41年(1966)

 

日本武道全集では松浦静山の著作を翻刻し載せています。

所載されている伝書も多く大変に読み応えのある内容で、

心形刀流研究の入口となるものと思います。

 

目次から抜粋

心形刀流

・松浦静山と心形刀流

・伊庭家の系譜ならびに道統

伝書

・剣巧(一)

・剣巧(二)

・本心形刀目録並証状

・心形刀流目録集成(一部)

・心形刀流諸目録序弁解

・当流剣装

・考定伝刀次第

・当流伝授之次第覚書写

・愚案抄

心形刀流組太刀(亀山伝の形解説、表六本と二刀六本)

 

他に柳生新陰流、タイ捨流、二天一流関連の伝書が

収録されています。


武術叢書 大正4年(1915) 早川順三郎編

 

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」で有名な

常静子剣談が収録されています。

プロ野球の故野村克也監督のお陰で一躍有名になった言葉ですが、

この剣談を収録した本は少なく、

実際に著書を読んだことをある人は少ないのではないでしょうか。

この本が編集された時点では常静子が何者かは解っていなかったようです。

編者の早川順三郎は「余はこれまで多くの剣道談を読みたれども、

本書の如く明確に剣学の真髄を説き得たるもの稀なり」

と評しています。

 

・常静子剣談

・剣巧

 

他に本朝武芸小傳、武術流祖録、兵法三十五箇条、五輪書、圓明流剣法書、

一刀斎先生剣法書、柳生流新秘抄などが収録されています。

国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できます。
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1764781


剣道日本 昭和60年(1985)10月号

 

「心形刀流 剣と人」と銘打って特集記事が書かれています。

少し前の月刊誌ですが、よく纏まっていて、

心形刀流の歴史や理念を解りやすく解説しています。

 

・伊庭八郎 遊撃隊始末(箱根・山崎ルポ)

・心形刀 名剣士ものがたり(伊庭家の歴史や松浦静山、山崎雪柳軒などの紹介)

・本心を錬磨するに惹くはなし(剣巧/剣談など松浦静山の著作を基に構成)